絶体絶命からの逆転––心が変われば経営が変わる Vol.20

2025.08.23

一昨日のことになりますが、尊敬する先輩、株式会社八木繊維の八木和男社長が発起人となってくださり、畏友 谷口健博さんの講演会が三島プラザホテルにて開催されました。お二人とのご縁で、私はその場の進行役を務めさせていただきました。冒頭、三島市の豊岡武士市長からもご挨拶を頂戴し、参加された皆様の高い期待感の中で講演が始まりました。

大手半導体メーカーの事業責任者として重責を担ってこられた谷口さんは、事業倒産(減損)の危機から、東日本大震災をも乗り越え、今日の世界シェアトップへと至った道のりを熱く語ってくださいました。会場は高い集中力で谷口さんのお話に引き込まれ、約1時間の講演はあっという間でした。

当日、谷口さんから学んだことは、いわゆる経営学の戦略や知識が通用しないVUCAの時代における新たな実践哲学と言えるものでした。その根底には、谷口さんが長年師事してこられた高橋佳子先生の人間学がありました。特に、事態をカオスとして捉える「カオス発想術」の考え方と実践は、非常に重要なものだと感じました。

谷口さんが講演の最後に見せてくれた大波を乗りこなすサーファーの映像は印象的で、私にとってカオス発想術の一つのイメージとして刻まれました。目の前の事態=大波に対して、力で立ち向かおうとしても飲み込まれ、溺れてしまう。しかし、その波の中には「ここしかない」という突破口が隠されている。心を鍛錬し、大波に対する心の動揺を抑え、深い願いと共に自分を超えた大きな力と調和する時、その波の中に突破口を見出し、思いもかけない光転の結果へと導かれる。谷口さんの絶体絶命からのV字回復の物語は、まさにその実践のモデルと言えるものでした。

高橋佳子先生の著書『心の力 人生に奇跡を起こすたった一つの方法』の中には、普段は捉え難い「心」を捉える視点、「心の力」をいかに解放するかがわかりやすく説明されています。時代の様々な困惑、次々と押し寄せるその大波に対し、私たちは決して無力ではないと確かな希望を感じさせてくれる一冊です。是非、多くの経営者、ビジネスマンに、ご一読をお勧めする次第です。